まだずっと若い頃、朝起きるのが苦痛でした。
枕元に目覚まし時計を置いたくらいでは、起きられません。アラームが鳴り出す寸前、針がかちりという音に反射的に反応して、眠ったままスイッチをオフにしてしまうのです。
その頃は、『やりたくないけどやらなくてはいけない事』がたくさんありました。それにきちんと向き合うのが『大人』というものだとわかってはいても、中身がお子様の私は心がついてこなかったのです。
だがしかし、どうにかして起きなくては。朝スッキリ目を覚ますのに有効な方法として、室内を段々と明るくする方法があるらしいです。ガラス窓にカーテンを引いている部屋なら、この方法が使えるでしょう。
でも、この頃の私の寝室は、雨戸をピッタリ閉めていました。朝になっても真っ暗なのです。やはり、音で起きるしかなさそうです。
そこで、私が使った方法は『音楽で起きる』方法でした。大枚をはたいて買ったミニコンポにタイマーをセットして、音量が段々と大きくなるようにしました。
電源が入るかすかな音の後、CDがセットされると、スピーカーから流れ出すのは幕を巻き上げる機械がきしむ音、その後ジェット機が飛ぶような音と重低音が加わって一気に音量が上がって…。
『America!』
この一言で飛び起きるのが、私の日課になっていました。いやはや懐かしい。
ちなみに、結婚する時にミニコンポもCDも処分してしまいました。音楽はデータで聞く時代になっていましたし、重低音が鳴り響く喧嘩腰のラップを聞いてドーパミンを噴出させなくては向き合えない現実は、もう有り得ない。
そう思ったから、だったのですが。
久しぶりに自分自身に心底がっかりすることがあって、なんとか自分を奮い立たせるために思い出したのが、毎朝聞いていたあの曲のことでした。
すでにCDは手元にありませんが、私のお目覚めソングはYouTubeにアップされていました。ありがたや。
私が持っていたのはアルバムで、YouTubeにアップされているのとは少し違っていましたが、「目を覚ませこの(自主規制)!」と自分自身の脳みそを蹴っ飛ばす感じを10年ぶりくらいに味わいました。
そして、ちょっとだけ元気になりました。
今週のお題「やる気が出ない」